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2006年2月25日号
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日本初の飛行場 大だこが似合う

 女は結婚の条件として、新婚旅行にここへ同伴してくれと言って、雑誌から切り取った1枚の写真を示した。「近江の八日市と云ふところですの」と。

 「そしてそれが何と、荒涼たる荒野の景色ではないか。遠景には低い連山が連なって居(お)り、中景は疎(まば)らな雑木林の外には目を遮るものゝない野原で、近景に曲りくねった一本の大きな松と、その横に粗末な小さな藁(わら)屋が一軒あるきり…」−女が夢によく見る風景そっくりで、どうしても一度行ってみたいと思って大切に保存していたのだという。

太郎坊宮から望む沖野、長谷野一帯。大戦前、日本で初めての民間飛行場が建設された
沖野ケ原(東近江市八日市)
 甲賀三郎の「荒野」は、こうして新婚夫婦が写真の地を目指す不思議な旅の間に遭遇する、おどろおどろしい事件の謎を追う探偵小説。昭和2(1927)年、雑誌「新青年」に発表された。小説の性質上、あらすじを明かすわけにはいかないが、舞台となっている荒野の景色は、八日市郊外の長谷野。沖野ケ原に飛行場が出来る前のことであるが、明治の半ばに隣町の日野町で10歳まで育った作家が、子ども心に荒野の印象を強く持ち続けていた土地だったかのかもしれない。

 大正3(1914)年、秦荘町(現愛荘町)出身の“ヒコーキ野郎”荻田常三郎が、沖野ケ原で飛行会(飛行時間12分45秒)をやったのをきっかけに、八日市の町は一変する。翌年には、八日市飛行場造成の地鎮祭が行われ、日本における民間飛行場発祥の地となったのである。この小さな飛行場は、やがて軍用飛行場となり、敗戦まで陸軍飛行部隊が駐留して町をにぎわせた。戦中、長谷野は八日市飛行場の爆撃演習場になっていたが、現在は工場や住宅団地が並び、畑が広がっている。

 沖野ケ原や長谷野を一望できる太郎坊宮に登った。「飛行場でにぎわったけど、怖い目にも遭いました」と、参集殿主幹の田中藤樹さん(70)が思い出を話してくれた。「飛行場の跡は戦後、芋畑に開墾しました。私たち小学生も手伝いにいきました。敗戦のその年だったと思いますが、進駐軍が来て飛行機を燃やしていました。ガソリンをかけて、マッチを靴の底で擦ってねえ。すぐにメラメラと燃えるような飛行機でした。沖野ケ原の空に真っ黒な煙が舞い上がりました」。沖野ケ原の空には日本一の大だこがよく似合う。この広大な原っぱが育てた郷土の誇りである。

 旧八日市市平和祈念展等開催実行委員会が、平成17年に出した「今、語らなければ」という冊子がある。その序文に「本市には日本初の民間飛行場が開設され、これを維持するために陸軍飛行場を誘致したことによる光と影の歴史があります」と書かれていた。飛行場の記録としても、貴重な内容が盛り込まれている。

【八日市大凧会館】日本一の大だこの町にある世界たこ博物館。100畳敷きの大だこをはじめ、歴代の大だこを随時展示。また映像やパネルでたこの仕組みや歴史、飛揚シーンが見られる。2階には世界36カ国のたこが展示されている。入館料200円(小中学生100円)。水曜、祝日の翌日、第4火曜休館。(東近江市八日市東本町)

【永源寺】臨済宗永源寺派の大本山。関西有数の紅葉の名所で、秋は全山紅葉に包まれ、総門から山門にかけての参道は、紅葉のトンネルとなって人も紅に染まる。5月には開祖・寂室元光禅師の誕生日(15日)を祝して、奉賛茶会が行われる。参拝志納料500円。(東近江市永源寺高野町)

【沖原神社】かつての陸軍飛行場跡を記す数少ない遺構の一つ。第3大隊開隊式が行われた大正11年に、飛行機の守護神として建設した=写真右。戦中、八日市飛行場を出撃する特攻隊の兵士は出発前にこの神社に詣でたという。現在は東沖野町、沖野町一帯の氏神として祭られている。(東近江市東沖野)

【ガリ版伝承館】ガリ版の愛称で一世を風靡(ふうび)した、鉄筆による簡易印刷機(謄写版)を発明した堀井新治郎・耕造父子の本家2階建て洋館を修復、平成10年に開館。ガリ版機材や作品を展示。無料。開館日は土・日曜。電話0748(55)4885=市蒲生教育分室(東近江市蒲生岡本町)

調べにのせて 座付きのアーティスト

 びわ湖ホールには「びわ湖ホール声楽アンサンブル」という16名の劇場専属の声楽家がいます。メンバーは全員ソリストとしての実力を持ち、年4回の定期公演や「青少年オペラ劇場」のソリストなど、ホールの自主事業への出演以外にも、県内の小学校への巡回公演など、さまざまな演奏活動を行っています。

 さて、劇場専属のことを「座付き」といいます。「びわ湖ホール声楽アンサンブル」は日本初の公共ホール座付きの声楽家集団として、開館の年の1998年に誕生しました。欧米の歌劇場では座付きの歌手、合唱団、オーケストラ、バレエ団などを抱えていますが、日本では座付きのオーケストラを持つ「兵庫県立芸術文化センター」やダンスカンパニーを持つ「新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ」など、まだ数えるほどしか例がありません。

 座付きであるということは、演奏家にとってホームグランドを持つということです。本番を迎える舞台の上で稽古し、公演を重ねることでお客さまともなじみになります。そして何より、演奏は音楽家とそれを支えるスタッフとの共同作業ですから、いつも同じメンバーと音楽を作ることで本番の成果を蓄積し、よりよい音楽をともに目指すことができるのです。

 びわ湖ホール声楽アンサンブルも設立から8年が経ちました。3月には芸術監督である若杉弘指揮による定期公演を予定しております。古今東西の名曲を演奏しますので、ぜひお越しください。

  (びわ湖ホール・村島美也子)

タイ料理レストラン ラナハーン瀬田
大津市大将軍3 電話077(544)1192

 守山駅前にある人気レストランの2号店として昨年秋にオープン。「本場そのままの味を楽しんでほしい」と、長年一流ホテルで経験を積んだタイ人シェフが腕を振るいます。メニューには写真や辛さの度合いが載せられていて初めてでも分かりやすく、「辛いだけではない、タイ料理の奥深い味わいを知っていただければ」と店長の川口崇史さん。注文すれば辛さを調節することもでき、小さな子ども連れのファミリーにも好評です。本場から取り寄せた珍しい野菜も多く使われ、「ハーブなので体にも良く、香辛料とともに代謝を促してくれるんですよ」。

 セットランチ=写真右=はドリンクとデザートが付いて1575円。歓送迎会には特製スープで楽しむ鍋・タイスキ(一人2835円)もお薦めです。

甲賀市 加藤晃子さん推薦

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