大津市京町4丁目3番33号
〒520-0044
滋賀新聞情報室
電話FAX:
(077)523-3897
shiga-np@kyoto-pd.co.jp

2005年12月3日号
毎週発行

京都新聞購読の申し込み

一世を風靡した漂白の歌人

 JR琵琶湖線・能登川駅を西へ約2キロ余。近江平野の伊庭内湖沿い、名物の大水車が回る伊庭地区に中世に栄えた伊庭城跡がある。南に繖山(きぬがさやま)、北に琵琶湖が広がるかつての湖岸の村、伊庭の庄。わずかに当時をしのぶ石垣とコイの泳ぐ小川沿いに、室町時代の連歌師・宗祇法師の出自碑が立つ。

能登川町総合文化情報センター内に立つ宗祇顕彰碑
宗祇法師生誕の地(能登川町伊庭)
 −かげ涼し 南のみ山 北の海−と宗祇がふるさとの山を詠んだ連歌の発句が、能登川町総合文化情報センターの前庭にある石碑に刻まれている。

 能登川宗祇法師研究会会長の長谷川美雄さん(73)が「かげ涼しは、故郷や親族の面影をしのぶ意で、み山は伊庭の繖山、北の海は琵琶湖のことです。『故郷の地で、親族の面影を思い、懐かしく心が和らぐ』という意味です」と解説してくれた。ふるさと近江には十数回も下向して、数多くの歌を詠んでいる。

 宗祇は1421年、城主伊庭氏の血を引く武家の家系に生まれた。7歳までこの地で育った後、京都の相国寺に修行に出され、同期の雪舟禅師らと学問僧としての厳しい修行を積み、30代で相国寺を出て連歌の道に入った。40代で独立して都で活躍したが応仁の乱の戦火を逃れ東国に旅し、漂泊の歌人として一世を風靡(ふうび)した。

 晩年は諸国を旅して大名や武将に連歌を伝授。御所や幕府にも出入りして連歌会所奉行の称号を授かり、連歌2000句を20巻にまとめた大作「新撰菟玖波(つくば)集」を編纂(へんさん)するなど室町後期の連歌全盛時代を築き、旅先の箱根で82歳の生涯を閉じた。連歌は鎌倉時代に形式が整い、応仁の乱前後に宗祇らによって飛躍的な発展を遂げ、和歌の西行、俳諧の芭蕉と並び連歌の宗祇は3大放浪歌人といわれた。連歌はその後、江戸時代に俳諧に押され衰退していった。

 昭和50年代に連歌は復興の兆しを見せ始め、10年前に宗祇の近江・伊庭生誕説が浮上、一気に町が力を注ぎ始めた。平成11年に顕彰碑が建てられたのを皮切りに、昨年には宗祇騎馬像が建ち、記念句会が開かれ小学校の副読本にも採用されるなど「宗祇さん」は一躍、町の人気者に。能登川町は今、水車の町と並び「宗祇のふるさと」として脚光を浴び始め「能登川連句友遊クラブ」も発足した。

 80歳で短歌から連歌の道に入ったという同クラブの桂田不二子さん(89)は「難しいけど、前句の作者の心の奥を探りながら脇句を付けるのが面白い」と話す。俳句や川柳をやっていた河崎章さん(66)も「生まれ育った能登川に歴史に残る偉人がいたとは知らなかった。連歌は即興の面白さがあります」と話す。

 宗祇がこよなく愛した伊庭の風景は500年の時空を超え、のどかな田園風景を遮る住宅街に見え隠れする山並みにくっきりとその姿を残している。

【能登川水車とカヌーランド】伊庭内湖畔にある水車の町能登川のシンボルゾーン。芝生広場には直径13メートルの巨大水車=写真右=や公園を流れる小川にも4つのミニ水車が回る。園内には水車資料館やカヌー発着場、レジャーボート、釣り船もあって県内屈指のアウトドアスポットとなっている。毎夏にはドラゴンカヌー大会も行われる。(能登川町伊庭)

【能登川町立図書館】平成9年に開館した能登川町総合文化情報センターは図書館、博物館、埋蔵文化財センターの3施設からなり住民の文化拠点。前庭には宗祇松と顕彰碑が立つ。電話0748(42)7007(能登川町山路)

【神郷亀塚古墳】国内最古級(3世紀前半)の前方後方墳。全長36.5メートル、高さは5.3メートルであったと推定される。邪馬台国と対立していた狗奴(くな)国の王墓という説があり、考古学者の注目を集める。滋賀県指定史跡。(能登川町神郷)

【北向岩屋十一面観音】古代ロマンの息づく能登川には古墳や古刹(こさつ)が多い。十一面観音は、かつて北の戦いに行く坂上田村麻呂が岩屋にこもり戦勝祈願したと伝わる。山頂の堂の奧の岩屋に安置された石造観音に今も参拝者が絶えない。観光名所、物産、ハイキングなどの問い合わせは能登川町役場・観光協会 電話0748(42)9913(能登川町猪子)

調べにのせて クラシックはスローライフ

 スローフードやスローライフという言葉をよく耳にするようになりました。ファストフードに代表されるような、手軽だけれど画一的で、効率優先の生活を見直していこうという動きです。

 クラシック・コンサートはまさにスローライフそのもの。コンサートホールのステージに立つ演奏家たちは、自分の身体と道具(楽器)だけで音楽をつくり出します。マイクやスピーカーなどのテクノロジーの助けを借りることは通常ありません。演奏された音楽は一度限りのもので、たちまち夢のように消えていきます。CDで同じ演奏家の同じ曲を知っていたのに、生の演奏は全然違っていた…ということも珍しくありません。聴衆がどう反応するかによっても演奏は変わります。音楽は、演奏家と聴衆の「共感と対話」によってつくられていくのです。

 さて、クラシック専用ホールの床や壁などの内装は、木を中心にしていて、ホール自体が自然の素材による楽器です。ホールそのものが演奏に影響を与えることもあり、残響の短いホールでは速めのテンポになることがあります。

 また、休憩中には家族やカップル、友人たちが、おしゃべりをしたり、情報を交換したり…。社交も、クラシック・コンサートの大きな魅力の一つといえます。

 食文化や自然の美しさ、地域の歴史や個性、人と人との出会い。こんなスローライフを心掛ける方には、クラシック音楽もきっと大切な時間となることでしょう。

  (びわ湖ホール・井上建夫)

新和食・割鮮屋 「西庵」
高島市今津町中沼1 電話 0740(22)3833

 JR近江今津駅前。石畳の路地へ一歩足を踏み入れると、落ち着いた空間が広がります。「ここから車で40分も行けば小浜。毎日、港直送の魚をお出ししています」と店主の西村克明さん。湖西で新鮮な海の幸が楽しめるとあって、京阪神から訪れる人も多いとか。

 素材の良さはもちろん工夫を凝らした新和食と、ランチが750円からという手ごろさも好評で、写真の牛鍋定食は7品付きで1700円。鍋に大皿料理が付き、最後はだし汁でチャーハンを作ってくれるという一風変わった辛鍋半鍋コースは3000円。女性に人気の冬の宴コースは3800円。会食や宴会、一品でお酒を楽しむこともでき、しつらえや器にも西村さんのセンスが光る、まさに大人のためのグルメスポットです。

高島市 小多三九子さん推薦

京都新聞TOP
Copyright(C) 1996〜2007 The Kyoto Shimbun Co.,Ltd.